【テーマ連載】「ゲームと文学をリンクする」
SF乱学講座「ナラトロジー」×「ルドロジー」――新たな角度からSFを考える(2009年7月5日)
第1回
岡和田晃 (協力:草場純、田島淳)第1回
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【但し書き】
本稿は2009年7月5日(日)に東京・高井戸で行なわれた市民講座「SF乱学講座」(前身たるSFファン科学勉強会から数えると、半世紀近い歴史を持つ市民講座で、「SFマガジン」に毎号告知が載っています)での講義を録音し、文字に起こして整理したものです。
本講義は“ゲームと文学をリンクするという目的”で行われました。原則、細かな点には手を入れてはおりません。
テーマ連載「ゲームと文学をリンクする」と題し、複数回に分けて公開していきます。
聴講者の方の感想と併せてご参照いただき、ゲームと文学のよりよき関係について考えるよすがとしていただけましたら、幸いです。
【事前の内容紹介文】
SFがテクノロジーと人間との関わり合いに焦点を当てた文学形式であることは論を待ちません。
しかし、「情報」として作品内にテクノロジーを組み込むだけではなく――J・G・バラードや筒井康隆らが示してきたように――爛熟したテクノロジーが人間を、ひいては表現そのものをもダイレクトに変容させてしまうところにも、SFの面白さは宿るものと私は考えます。
それゆえ、SFの在り方を考えるには、SF内で描かれる情報の種類だけではなく、SFを規定する表現そのものの在り方についても思考の幅を広げる必要があるのではないでしょうか。
かような問題意識のもとに、参加者の方々と一緒に、SFという表現の可能性について考えてみるつもりです。
具体的には、私が近々上梓する評論「青木淳悟――ネオリベ時代の新しい小説(ヌーヴォー・ロマン)」(『社会は存在しない』所収、南雲堂近刊)と、 ロールプレイングゲームについての単著『ガンドッグゼロ リプレイ アゲインスト・ジェノサイド』の両者(編注:ともに2009年に刊行された)がいかな る問題意識のもとに書かれているのかの解説を軸にして、「ナラトロジー」(批評理論としての物語論)と「ルドロジー」(批評理論としてのゲーム論)の両局 面から、SFという表現の在り方が今後いかように深化しうるのかを考察しようと思っています。
「いわゆるハードSF的なアプローチの他にも、アクチュアルな表現としてSFに接することは可能だ!」ということを知っていただけましたら幸いです。
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●はじめに
皆様、はじめまして、岡和田晃と申します。
今回はお忙しいなか、また日本SF大会と日程が重複しているさなか、わざわざ足をお運びいただきまして、ありがとうございました。
今回は皆様に「「ナラトロジー」×「ルドロジー」――新たな角度からSFを考える」と題した講演をさせていただこうと思います。
岡和田の話すことそ のものをフィーチャーしたイベントというのはこのSF乱学講座が初めてとなります。
拙い部分も多々あるでしょうが、なにとぞ、お手柔らかにお願いいただけ ればと思います。
●自己紹介
さて、私はゲーム、特に「ロールプレイングゲーム」(RPG)という分野のライティング仕事を文芸批評と並行して行なっています。
広義の文芸評論・ SF評論の仕事と、RPGのライティングとは、ゲームのシナリオを書いたり、設定を翻訳したり、チェックしたりする、という仕事でして、ほかにもイベント の取材をして結果をレポートしたりと、色々な仕事をしています。後述しますが、ゲームライティングといっても、会話型のロールプレイングゲームの場合、 ゲームの運用そのものにもクリエイティヴィティが求められますから、ジャーナリストよりは小説家に近い仕事かもしれません。
一方、文芸評論・SF評論の仕事は主に「speculativejapan」という、ワールドコン・Nippon2007という世界規模のSFイベ ントを契機として結成されたグループをベースに活動しています。
かつて「NW-SF」という雑誌を主催していた山野浩一さんや、山野浩一さんとの論争が日本SF史の基礎となった荒巻義雄さん、そして「NW-SF」で翻訳家としてデビューし、今も精力的に活動を継続している増田まもるさんらが活動していま す。
注目の続きは
Analog Game Studies
でお読みください、よろしくお願い致します(礼)
おまけ情報♪
※同じく11月4日に開催される「ゲームマーケット2013秋」で、RPG『ラビットホール・ドロップスi』が頒布されます。
Analog Game Studiesの齋藤路恵氏がメイン・デザイナーをつとめ、成人発達障害当事者団体イイトコサガシと、ゲーム創作者集団エテルシア・ワークショップ、およびAGSのコラボレート作業で完成に至った新作です。
★ご注意ください!やさしいRPG「ラビットホール・ドロップス」から生まれた、完全に未経験者向きのRPGワークショップ「ラビットホール・ドロップスi」のすべてを解説。
この冊子は成人発達障害当事者会「イイトコサガシ」のワークショップにおいて用いられる会話型RPG(テーブルトークRPG、TRPG)のルール と、そのガイダンスです。
一般的なゲーム商品とはその性質が異なりますので、ご理解の上、お読みください。
ラビホアイ”で、お話づくりを通してコミュニ ケーションを楽しく試そう!
7つのステップと「リドラー」システムで、みんなが即興のお話作りを体験する2時間半のプログラム。
ハプニングに笑い、みんなのいいところを見つけて、とても心が解放されるような、素敵なひとときを過ごしませんか?
ゲームマーケットブース情報 11月4日(月・祝)332番 エテルシアWS
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