(2013年4月10日付)
■自己肯定感を育てる
「成功、失敗を決める場ではありません。参加してコミュニケーションを試みることに価値があります」。
3月末、宮崎市のみやざき若者サポートステーションで開かれた発達障害者向けのワークショップには、成人の当事者ら12人が集まっていた。
アドバイスや批判は禁物。
相手の良いところを見つけて褒める、に徹する。ワークショップのファシリテーター(進行役)を務める山田裕一さん=熊本市=は「発達障害者は日常生活で叱られたり、否定されたりして育ってきた人が多い。
自己肯定感を育むのが目的です」と話す。
ワークショップは、成人発達障害当事者会「イイトコサガシ」(東京都)の冠地情(かんちじょう)代表が考案した。
コミュニケーション力を向上させると人気を集め、これまで35都道府県で実施されたという。
「マジョリティー(多数派)を探せ!」と題されたワークショップをのぞいた。
「宮崎といえば、何を想像しますか、一斉に答えてください」。
山田さんが語り掛けると参加者たちが答える。
「海」「チキン南蛮」「日向夏」…。
少数派になりがちな当事者たちが、多数派の考え方を探る内容で、「多くの人が物事をどのように考えるのか意識するためのもの。
もちろん少数派の意見を言ったとしても、それも『面白い考え方だね』と受け入れるように促します」と説明する。
「人と接する際に、相手をどう思いやり、どんな言葉を掛ければいいのかが分からないできた。ワークショップではそれが感覚的に確かめられる良い機会」と話すのは宮崎市の男性(33)。
近く、発達障害の受診を検討しているという。
同市の当事者会「クローバー会」の大島寛代表は「日常生活を送る際に大切な対人能力を高められる支援だが、そういうスキルを学べる機会は宮崎では実は少ない。
ワークショップは貴重な時間です」
山田さんは「当事者の性格や特性によって目的や内容はさまざま。ファシリテーター育成や内容の充実、当事者のバックアップ体制構築など課題は山積している」と話した。
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社会参加と自立に向けて歩もうとしている成人の当事者たちの現在、課題を追う。
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