2012/12/11
2012年10月1日『精神科医も診断難しく』毎日新聞にイイトコサガシの活動が掲載されました(田村記者、ありがとうございます)
今回の記事の流れでは特にイイトコサガシは必要ないのですが、あえて加えて下さって本当にありがたい限りです(笑)
写真で私の名前が出るように工夫して下さったり…
田村記者、本当にありがとうございました(礼)
ココカラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先天性の発達障害の一種・注意欠陥多動性障害(ADHD)
成人に治療薬 「ストラテラ」国が承認
ADHD:成人に治療薬 「ストラテラ」国が承認
発達障害には「子ども」の印象が強いが、大人になっても社会生活の難しさを抱えて苦しむ人は少なくない。そんな中、先天性の発達障害の一種・注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬「ストラテラ」(一般名・アトモキセチン)が、18歳以上の人にも使えるよう国の承認を受けた。ADHDの成人に処方できる適応薬は、国内では初めて。関係者は、大人の発達障害に対する社会の理解が進むことを期待している。【田村佳子】
◇支援者「認知される意義大きい」/専門家「自信回復のきっかけに」
ADHDの特徴は、落ち着きがない(多動)、思いついたまますぐ行動する(衝動性)、仕事や勉強に集中できない(不注意)――など。多くは成長とともに目立たなくなるが、6割前後の人は、成人しても何らかの特徴が続くという。
ADHDを持つ大人は、職場のルールなどに縛られず豊かなアイデアを出したり、人懐っこさやじっとしていない特性を生かし、営業で成果を上げたりする人もいる。
一方で、注意欠陥のためけがや物忘れが多かったり、衝動的に転職、転居を繰り返すなど、自身の社会生活に大きな影響を及ぼしてしまう場合もある。幼い頃から失敗を叱られ、自責の念を抱えてうつなどになる人も多いという。
ADHDを持つ人を支援しているNPO法人「えじそんくらぶ」の高山恵子代表は「ADHDの人はケアレスミスが多く、他の人が簡単にできる単純なことができない。それを周囲に理解してもらうことも難しいため、周囲からは『仕事で立派なプレゼンができても事務処理ができない』などと批判されてしまう」と説明する。
今回承認された治療薬・ストラテラは、脳内にあるノルアドレナリンやドーパミンという神経伝達物質の量を増やし、不注意などADHDの中核症状を改善する。依存や乱用のリスクは低いという。
販売元の日本イーライリリーによると、ストラテラは6月現在、87カ国で小児用に使われており、成人向けとしても承認されているのは、米国やカナダなど30カ国。同社の臨床開発医師、平田祐子さんは「ADHDが『子どもの病気』と考えられ、成人の障害でもあるという認識が遅れた」と指摘する。
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治療薬承認について、えじそんくらぶの高山代表は「大人のADHDが認知される意義は大きい」と歓迎。平田医師も「どんなに頑張ってもうまくいかないのは、怠けや能力不足のせいではなく、障害のためだと分かれば、その人も自尊心を取り戻せる」と語る。
ただ、専門家は同時に、薬の効果に過度に期待をかけないよう呼びかけてもいる。
まず、薬の効果が出るのは、飲み始めて数週間以上たってから。また、臨床試験では7割の服用者に効果があったものの、気分が悪くなる(47%)、食欲が落ちる(21%)などの副作用もみられた。
ADHDはこれまで、小児精神科医が主に診ており、大人を対象とする精神科医にとって、ADHDは「未知の疾患」。まずは成人の診療体制を充実させることが急務だ。そのうえで、必要性を慎重に見極めた上での処方が求められる。
また、東京都立小児総合医療センター顧問の市川宏伸医師は「薬を飲んだだけで問題が解決するわけではない」と指摘する。
発達障害の問題は、障害そのもの以上に、障害が原因の失敗によって叱られ続け、自信を失い、劣等感を持つことにある。逆に、失敗が減って自信がつくと、不注意や多動が目立たなくなる人も少なくないという。
薬はあくまで、障害による失敗を減らし患者の自信を回復するためのきっかけの一つ。劣等感が解消するかどうかは、社会がその人の特徴をどれだけ受け入れられるかにかかっている面もある。市川医師は言う。
「発達障害がある人には、できないこともあるが、優れたところもある。周囲も『これはできないけれど、こんなことができる』と見てほしい」
◇精神科医も診断難しく
発達障害とはADHDのほか、学習障害(LD)、自閉症などの先天的障害。子どものうちに障害特有の特徴に気づかれていれば診断がつきやすいが、大人の発達障害は、精神科医でも対応が難しい。
発達障害を持つ当事者らでつくる自助グループ「イイトコサガシ」が9月、東京都内で開いた「大人の発達障害を語る会」。精神科医の香山リカさんは「学会でも大人の発達障害は話題だが、専門家が少ない。どう診断をつけ、告知し、治療するかが定まっていない」などと、医療現場の実情を語った。
患者は診察の際「眠れない」「周囲の人とうまくいかない」などと「今の悩み」を話す。精神科医はそれを聞き、うつ病や統合失調症などの精神疾患を疑うのが一般的だ。
だが香山さんは「パーソナリティー障害やうつ病と言われる多くの人に、発達障害がかかわっているのでは」と指摘する。もともと発達障害を持っていた人が、障害による「生きづらさ」から、精神疾患などの症状を発していることもある。
医師が大人の発達障害に気付く方法はあるのか。香山さんは「患者に過去の思い出話をしてもらうしか、診断の決め手はない」と述べた。ただ、確定診断がついても「今さら『実は発達障害だった』と言った方がいいのかどうか。誤った診断を長い間受けてきた、と患者に話すことにメリットがあるのかどうかは議論がある」と課題を挙げた。
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